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電子申告と電子納税を本当に促進したいのなら

電子申告と電子納税を本当に促進したいのなら

 国税庁はe-Taxをもっと普及させ、申告と納税を電子化することを推奨しています。
 実際の利用状況はどうなっているでしょうか。
 所得税で見てみます。

 まずは、e-Tax(申告)状況を見てみます。
 平成30年の所得税申告者数22,188,704人に対してe-Taxの利用件数11,472,798件で51.71%。
 半数強が電子申告をしているようですが、税理士の関与度が20.3%であり、税務署の申告相談会場などではほとんどが電子申告なのでそれを考えると一般の人が自分でe-Taxを利用している割合はかなり低そうです。

 なんといっても、マイナンバーカードを手に入れ、そのマイナンバーカードに電子署名をセットしたとしても、カードリーダーがなければ電子申告ができないことがネックです。
 千円から購入できてたいして高いものではないですが、年1回使うために買うのは金銭的なこと以外にも抵抗があるでしょう。
 記帳指導や申告時期の相談会場で対応する方の中に、申告書まではe-Taxで作ったもののプリントアウトして郵送という方が結構います。

 現在、コンビニエンスストアの多機能コピー機でマイナンバーカードを使って住民票等が取得できます。
 ということは、あの機械を利用して本人認証ができるわけで、e-Taxで申告書を作成し、なんらかの特定のコードを取得して、コンビニエンスストアの多機能コピー機にそのコードを入力しマイナンバーカードを利用することで解決できそうに思います。
 駅や公共の施設にもこのようなマイナンバーカードの読み取り機があればさらに普及するのではないでしょうか。

 電子納税はどうでしょう。
 統計では、申告納税額がある者6,390,044人、還付申告をした者13,041,356人、e-Taxの納付手続件数6,827,436件。

 これはどう見るべきですかね。
 e-Taxの納付手続件数というのは納税と還付を合わせた利用数でしょうね。そうすると利用割合は35.14%。

(参考)
所得税申告者数、申告納税額がある者、還付申告をした者
国税庁/統計情報 平成30年度 申告所得税
e-Tax利用件数、e-Taxの納付手続件数
国税庁/e-Taxの利用件数
税理士の関与度
財務省/国税庁実績評価書 実3-3に係る参考情報

 私のお客さんでも電子納税を利用している方はあまりいません。紙の納付書を書いて送っています。
 電子納税を利用しない理由は、インターネットバンク自体に慣れていないということもありますが、税務署が発行する電子納税に必要な情報の書式に問題があるのではないかと思います。
 電子納税をするためには、収納機関番号、納付番号、確認番号、納付区分が必要ですが、電子納税をするための受信通知には、納付番号は『利用者識別番号を入力してください』、確認番号は『納税用確認番号を入力してください』と印字されていて、それらの番号を別途控えていないと納付ができないことになります。これは実際にやろうとすると面倒です。
 ここを納税者の情報を印字するだけでかなり利用率は上がると思います。

 普及させるためには、広報にお金をかけるのではなくどうすれば利用者にとって利便性が高まるかを考えるべきだと思います。