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消費税抜きの価格表示

消費税抜きの価格表示

 安い、と思ってよく見たら消費税抜きの値段だった、ということがありませんか。
 本来は、このようなことがないように消費税率が5%であった平成16年から一般の人に対して表示する価格は消費税込みにするように消費税法で決められています。

消費税法
第六十三条 事業者(略)は、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等(略)を行う場合(略)において、あらかじめ課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格を表示するときは、当該資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない。

 しかし、平成26年に5%から8%になる際、1日ですべての商品の表示価格を変更することができない現場のことを考慮して『消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法』(長い・・・)が平成25年に施行されました。

 この特別措置法というのは期間を限定して施行される特例的な法律で、この特例は平成30年9月30日までの期間だけの特例でした。
 その後、令和1年10月に8%から10%に増税されたことにより上記の特例期間が令和3年3月31日まで延長されました。

10条
事業者(略)は、自己の供給する商品又は役務の価格を表示する場合において、今次の消費税率引上げに際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁のため必要があるときは、現に表示する価格が税込価格(略)であると誤認されないための措置を講じているときに限り、同法第六十三条の規定にかかわらず、税込価格を表示することを要しない。
2 前項の規定により税込価格を表示しない事業者は、できるだけ速やかに、税込価格を表示するよう努めなければならない。
3 事業者は、自己の供給する商品又は役務の税込価格を表示する場合において、消費税の円滑かつ適正な転嫁のため必要があるときは、税込価格に併せて、消費税を含まない価格又は消費税の額を表示するものとする。

公正取引委員会

 つまり、とりあえず増税後の消費税込みの価格の表示にできるまでの間は、消費税抜きの価格だと分かるようにしておけば消費税抜きの価格で表示していてもいい、ということです。

 逆に言うと、増税後の価格が表示できるのであれば増税後の価格を表示すればよいのであって、消費税抜きの価格をわざわざ表示して消費者に誤解を与えてはいけないということです。

 けれども、大手の小売店で消費税抜きの価格を大々的に表示し、税込価格を小さく記載しているところも少なくないですね。大手の場合、法律を知らないわけではないので分かっている上でやっているわけです。おそらくは罰則がないことが原因でしょうね。

 目先の利益ばかり考えると、

罰則がないから守らない→法律で規制し罰則を設ける→法律と罰則が多くなる→新しいことを始めようとするといろいろな法律をクリアしなくてはならない→なかなか新規の事業ができなくなる→経済活動が停滞する→不景気

という悪循環になると思うのですが。

 消費税抜きの価格を目立つように表示している小売店は、消費者を騙そうと思って税抜価格を税込価格より目立つように表示しているわけですから、法を守らない上に消費者を騙そうとする信用できない小売店であることは間違いありません。

 安く見せるための税抜表示を防止するために国税庁が具体的な例を挙げています。
国税庁 総額表示義務の特例措置に関する事例集