非居住者の納税地
久しぶりの投稿で金鳥します(日本の夏)。
さて、今回は非居住者の納税地についてです。
非居住者の方が国内財産の贈与を受けたので、納税管理人を定めて贈与税の申告をしようとまずはe-Taxの識別番号を取ろうと思い、どこの税務署に提出するのかを調べました。
以下、()は読みやすくするために省略しているところです。詳しくはちゃんと法令を読んでください。
相続税法1条の4 1項2号
贈与により財産を取得した()者であつて、当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有しないもの
相続税法1条の4 1項4号
贈与によりこの法律の施行地にある財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有しないもの()
これらに該当する場合は、
相続税法62条2項
この法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるものは、納税地を定めて、納税地の所轄税務署長に申告しなければならない
となっています。
自分で提出する税務署を決めるということです。
よって、納税管理人の住所地を管轄する税務署を指定して識別番号を取得しました。
すると、管轄の国税局(A)から、日本にいたときの最後の住所地が納税地になるという連絡がありました。
なんかそんなの所得税で見たなと所得税法を調べると
所得税法15条 1項3号
恒久的施設を有する非居住者である場合 その恒久的施設を通じて行う事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地()
所得税法15条 1項4号
納税地を定められていた者が国内に住所及び居所を有しないこととなつた場合において、()その納税地とされていた場所にその者の親族()が引き続き、又はその者に代わつて居住しているとき。 その納税地とされていた場所
所得税法施行令 第54条1項1号
いずれにも該当しないこととなつた場合() その該当しないこととなつた時の直前において納税地であつた場所
所得税法施行令 第54条1項3号
麹町税務署の管轄区域内の場所
となっているので、この条文を準用したのではないかと思いました。
(余談:税理士受験生時代、この麹町という字を「初めて書くー。多分もう書くことないー」と言いながら書きました)
でも、これから提出しようと思っているのは贈与税の申告書なのでその旨伝えましたが上司に確認しての折り返しの電話でも日本にいたときの最後の住所地が納税地だと言われました。
こちらはまあ、電子申告なのでどこでも良いですし、税務署間で転送するということでこちらが出しなおす手間もかからないのでので「ああ、そうですか」と引き下がりました。
そして、取得した識別番号を基に納税管理人の選任の届を言われたとおりの税務署に提出すると、そこの管轄国税局(B)から連絡。
「なんでうちに出したん?」と。
いやいやいや、そうでしょ、ね、だからおかしくなると思ったんですよ。
上記の説明をすると、確かに納税管理人の住所地の所轄税務署に出すべきですねということになり税務署間で話し合うのでちょっと待って欲しいと言われたので、意地悪心が働き、「えー、今日今から贈与税の申告書を提出しようと思ってたんですけど」と言ってプレッシャーをかけました。『ぬののふく』だけでラスボスに立ち向かうふりだけする感じ。
贈与税の納税管理人の選任というのは数が少ないのですかね。
当方の使っているソフト(急激に値上げをしたことで業界内で話題の会社の)には所得税・消費税の納税管理人選任の届はありますが相続税・贈与税の届はありません。
e-Taxソフトでも税目選択で「納税管理人関係」からは所得税・消費税の納税管理人用のものしかなく、贈与税の納税管理人用のものは科目選択で「相続税・贈与税」に進んでから見つけることになっています。
単純に見つけにくいので変更してほしいですね。
で、その後Bから連絡があり、Aの税務署に確認したところ間違った指導をしたことに気づいて連絡しようと思っていたところだった、と言っていたとのこと。なるほど、当方は『指導』を受けていたのですね。ありがとうございます、ご指導ご鞭撻ありがとうございます。
そして数分後に、Aから連絡があり、丁寧にお詫びを頂きました。こちらからも『ご指導』についてお礼を申し上げました。
届出はどちらも(AからBへ転送された識別番号分とBに出した納税管理人選任分)税務署間で転送をしてこちらが出しなおすことはなく、申告書はAに提出することで話は終わりました。あとはこのことを逆恨みしてAが今回の申告内容にいちゃもん付けてこないことを祈ります。