所轄税務署
確定申告書をどこに提出しますか。
自分の住んでいる場所、法人なら本店がある場所などの所轄税務署に提出しているでしょう。
法的には、所轄税務署ではなく所轄税務署長に提出していることになっているのですが、この『所轄』についてちょっと考えてみました。
税法上、確定申告書は『所轄』税務署長ではなく、税務署長に対して提出することになっています。たとえば、法人税法。
第七十四条 内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。
『所轄』税務署長に提出するように法人税法で書いてあるのは、第四条の三(連結納税の承認の申請)、第四条の五(連結納税の承認の取消し等)、第十三条2項(会計期間の定めがない法人)、第二十条(納税地等の異動の届出)、第三十四条1項2号(定期同額役員給与)などです。
それではなぜ、確定申告書を『所轄』税務署長に提出しているのでしょうか。
根拠は、財務省設置法です。
第二十四条 国税局及び沖縄国税事務所の所掌事務の一部を分掌させるため、所要の地に、税務署を置く。
2 税務署の名称、位置、管轄区域、所掌事務及び内部組織は、財務省令で定める。
3 財務大臣は、税務署の所掌事務の一部を分掌させるため、所要の地に、税務署の支署を置くことができる。
4 税務署の支署の名称、位置、管轄区域、所掌事務及び内部組織は、財務省令で定める。
この税務省設置法はその目的として
第一条 この法律は、財務省の設置並びに任務及びこれを達成するため必要となる明確な範囲の所掌事務を定めるとともに、その所掌する行政事務を能率的に遂行するため必要な組織を定めることを目的とする。
と掲げている通り、納税者に対しての直接的な法律ではありません。
なので、『所轄』税務署長以外の税務署長に確定申告書を提出した場合(他の税務署に提出してしまった場合)には受け取らないことはなく、『間違ったところに出しているからこちらから所轄税務署の方に転送しますよ』という対応をします。