脱サラして創業する人のためのメモ
現在会社勤めをしていて、将来自分で起業しようと思っている人は、新しい仕事のことについては考えるのですが、自分の生活のことについてはなんとかなるだろうと考えることがあります。そもそも、サラリーマン時代に家計のことについては奥さんに任せていて家計を把握していない人が多いので。
起業して、順調に事業として生計を立てられるようになるための足固めとしてやっておくべきことをご紹介します。
家計を把握する
まずは、家計を把握しましょう。
家賃または住宅ローン、水道光熱費、食費、子どもの教育費、医療費、消耗品費、車の維持費など。
そして、身内に急な不幸があった時の旅費や葬式費用。
1か月に最低いくら必要か、もしもの際にはいくら必要か。
創業、起業してすぐにこれまで給料としてもらっていた額と同じ収入があっても、事業には仕入れや維持するための経費が必要なので、手取りは少なくなります。その少なくなった手取りで生活費を賄うことになりますが、これまで以上に支出が増えます。
それは、サラリーマンから個人事業主になることでこれまで意識していなかった支出があるからです。
家賃または住宅ローン、水道光熱費、食費、子どもの教育費、医療費、消耗品費、車の維持費など。
そして、身内に急な不幸があった時の旅費や葬式費用。
1か月に最低いくら必要か、もしもの際にはいくら必要か。
創業、起業してすぐにこれまで給料としてもらっていた額と同じ収入があっても、事業には仕入れや維持するための経費が必要なので、手取りは少なくなります。その少なくなった手取りで生活費を賄うことになりますが、これまで以上に支出が増えます。
それは、サラリーマンから個人事業主になることでこれまで意識していなかった支出があるからです。
サラリーマン時代と変わること
個人事業主になると自由になると思う方もいるかもしれませんが、実際に個人事業主になるとサラリーマンが会社から守られていたことを実感することになります。
これまでのサラリーマン時代にはあまり考えることのなかった社会保険や税金のことについて、自分で手続きをしなければなりません。
厚生年金、健康保険料、住民税、所得税はいままで給与から天引きされていましたが、個人事業主になると自分で手続きをして納付しなければなりません。
これまでのサラリーマン時代にはあまり考えることのなかった社会保険や税金のことについて、自分で手続きをしなければなりません。
厚生年金、健康保険料、住民税、所得税はいままで給与から天引きされていましたが、個人事業主になると自分で手続きをして納付しなければなりません。
年金の種別変更
年金の種別は厚生年金から国民年金になります。
厚生年金は、給料の額に応じて負担していましたが半額は会社が負担してくれていました。
個人事業主になると一律の金額で全額を自分で支払うことになります。
令和元年は月16,410円です。しかも、厚生年金は配偶者の有無に関係なく同額の負担でしたが、国民年金は本人と配偶者は別にカウントしますので、配偶者の分の負担も増えます。(すでに配偶者が働いていて自分で社会保険に加入していれば別です)
厚生年金は、給料の額に応じて負担していましたが半額は会社が負担してくれていました。
個人事業主になると一律の金額で全額を自分で支払うことになります。
令和元年は月16,410円です。しかも、厚生年金は配偶者の有無に関係なく同額の負担でしたが、国民年金は本人と配偶者は別にカウントしますので、配偶者の分の負担も増えます。(すでに配偶者が働いていて自分で社会保険に加入していれば別です)
社会保険の種別変更
社会保険の種別は健康保険から国民健康保険になります。
厚生年金と同じく健康保険も、給料の額に応じて負担し、半額は会社が負担してくれていました。
個人事業主になると所得、世帯の人数などにより保険料が算出されます。
厚生年金と同じく健康保険も、給料の額に応じて負担し、半額は会社が負担してくれていました。
個人事業主になると所得、世帯の人数などにより保険料が算出されます。
住民税について
住民税は、会社を辞めた時に5月までの徴収額が最後の給料から差し引かれたと思いますが、6月以降は前年の所得(会社勤めの時の所得)に応じて年4回に分けて自分で納付することになります。
1年遅れで税額が決まるので要注意です。
ただし、本年の収入が激減した場合には減免の特例がありますが、前年の所得が100万円を超えていると適用できません。
よって、脱サラして独立開業を考えている方については実質的に住民税の減免はないでしょう。
1年遅れで税額が決まるので要注意です。
ただし、本年の収入が激減した場合には減免の特例がありますが、前年の所得が100万円を超えていると適用できません。
よって、脱サラして独立開業を考えている方については実質的に住民税の減免はないでしょう。
所得税について
所得税はこれまで給与から差し引かれ、年末に年末調整を会社がやってくれていたので、どちらかというと『年末にちょっと戻ってくるもの』というイメージしかないかもしれませんが、個人事業主は収入と支出を自分で集計して、それを基に所得税の計算をして翌年2月16日から3月15日までの間に申告をして納付をする必要があります。
具体的な手続き
面倒なことがいっぱいでなんとなく支出も増えるみたいで独立開業の夢を諦めそうになってきましたか。
でも、手続き自体は必要ですが何かを計算するような面倒なことはなく、名前と住所と生年月日のような基本的なことを書くくらいの手続きで、支出も減らせる方法があります。
詳しくは、下のフォームから資料請求を…、というあやしい話っぽい書き方になりましたが、ちゃんとした話ですし有料ではありません。このまま読んでください。
でも、手続き自体は必要ですが何かを計算するような面倒なことはなく、名前と住所と生年月日のような基本的なことを書くくらいの手続きで、支出も減らせる方法があります。
詳しくは、下のフォームから資料請求を…、というあやしい話っぽい書き方になりましたが、ちゃんとした話ですし有料ではありません。このまま読んでください。
国民年金の種別変更と減免申請
まずやること。
退職したらすぐ自分と配偶者の年金手帳、雇用保険の離職票、印章、自分と配偶者の前年の源泉徴収票、自分の今年(退職年)の源泉徴収票を持って、まずはお住まいの市区役所役場の国民年金課に行きましょう。
そして、会社を辞めたので国民年金への変更手続きがしたい、そして免除の申請がしたいと告げましょう。
国民年金は、毎年7月から6月を年度と考えます。手続きをするのが6月までならばその前年の所得とは前々年の暦年の所得になります。
例えば、令和元(2019)年5月に手続きをするときは令和元年6月分までの申請しかできず、そのときに考慮される所得は平成29(2017)年の所得になり、令和元(2019)年7月に手続きするときは令和2(2020)年6月までの申請となり、考慮される所得は平成30(2018)年の所得になります。
本来は、上記の通り前年の所得によって免除等の判定が行われますが、離職票があれば、『収入が無くなった人』として扱われる(特例免除になる)ので全額免除になる可能性が高いです。(国民年金法90条1項5号、国民年金法施行規則77条の7 1項2号)
個人事業を始めていて収入があったとしても、雇われてない状態になったということが特例の要件なので嘘をついて免除してもらっていることにはなりませんし、個人事業をしていることを隠す必要もありません。聞かれませんが。
ただし、配偶者の所得も審査されるので配偶者に122万円以上の給与収入があれば全額免除にはならないかもしれません。しかし、370万円の給与収入くらいまでなら一部免除の可能性があります。
このへんの判定の方法と算式は複雑なので配偶者にそこそこ所得があっても、実際に窓口に行って確認した方がいいです。
この際、扶養されていた配偶者も3号から1号に変更になるので、配偶者の分も手続きをしましょう。その配偶者の手続きをする際に自署ではないので印鑑が必要になります。
配偶者と一緒に行くなら印章は持って行かず、配偶者本人に書いてもらえばいいです。
日本年金機構のWebサイトから申請書をダウンロードして配偶者に記入してもらって持って行ってもいいのですが、訂正等があった場合に配偶者本人がいないと面倒になるかもしれないので、印章を持って行くか配偶者と一緒に行くことをお勧めします。
国民年金の失業による特例免除が可能なのは退職日の翌日から2年後の6月までの期間までです。
こんな手続きせずにただ払わなければいいのでは、と思うかもしれませんが、手続きをして免除されるのと勝手に払わないのとでは、法的に全く意味が異なります。勝手に払わないのは法令違反であり滞納ですので強制的に差し押さえられることもありますし、年金の受給の際も未払期間は計算から除外されるので年金自体を貰うことができなかったり、貰えたとしても減額されます。
退職したらすぐ自分と配偶者の年金手帳、雇用保険の離職票、印章、自分と配偶者の前年の源泉徴収票、自分の今年(退職年)の源泉徴収票を持って、まずはお住まいの市区役所役場の国民年金課に行きましょう。
そして、会社を辞めたので国民年金への変更手続きがしたい、そして免除の申請がしたいと告げましょう。
国民年金は、毎年7月から6月を年度と考えます。手続きをするのが6月までならばその前年の所得とは前々年の暦年の所得になります。
例えば、令和元(2019)年5月に手続きをするときは令和元年6月分までの申請しかできず、そのときに考慮される所得は平成29(2017)年の所得になり、令和元(2019)年7月に手続きするときは令和2(2020)年6月までの申請となり、考慮される所得は平成30(2018)年の所得になります。
本来は、上記の通り前年の所得によって免除等の判定が行われますが、離職票があれば、『収入が無くなった人』として扱われる(特例免除になる)ので全額免除になる可能性が高いです。(国民年金法90条1項5号、国民年金法施行規則77条の7 1項2号)
個人事業を始めていて収入があったとしても、雇われてない状態になったということが特例の要件なので嘘をついて免除してもらっていることにはなりませんし、個人事業をしていることを隠す必要もありません。聞かれませんが。
ただし、配偶者の所得も審査されるので配偶者に122万円以上の給与収入があれば全額免除にはならないかもしれません。しかし、370万円の給与収入くらいまでなら一部免除の可能性があります。
このへんの判定の方法と算式は複雑なので配偶者にそこそこ所得があっても、実際に窓口に行って確認した方がいいです。
この際、扶養されていた配偶者も3号から1号に変更になるので、配偶者の分も手続きをしましょう。その配偶者の手続きをする際に自署ではないので印鑑が必要になります。
配偶者と一緒に行くなら印章は持って行かず、配偶者本人に書いてもらえばいいです。
日本年金機構のWebサイトから申請書をダウンロードして配偶者に記入してもらって持って行ってもいいのですが、訂正等があった場合に配偶者本人がいないと面倒になるかもしれないので、印章を持って行くか配偶者と一緒に行くことをお勧めします。
国民年金の失業による特例免除が可能なのは退職日の翌日から2年後の6月までの期間までです。
こんな手続きせずにただ払わなければいいのでは、と思うかもしれませんが、手続きをして免除されるのと勝手に払わないのとでは、法的に全く意味が異なります。勝手に払わないのは法令違反であり滞納ですので強制的に差し押さえられることもありますし、年金の受給の際も未払期間は計算から除外されるので年金自体を貰うことができなかったり、貰えたとしても減額されます。
国民健康保険の任意継続
さて、国民年金の手続きが終わったら、おそらく国民年金課のすぐ近くに国民健康保険課があるので、そこに行きましょう。
そして、任意継続とどちらが有利か教えてほしいと頼みましょう。
任意継続とは、これまでの会社の健康保険に継続して加入するということです。ただし、これまで会社が負担してくれていた半額分も自分で負担することになります。それでも扶養家族が多いなど、場合によると国民健康保険に変更するよりも安くなります。
ただ、この任意継続には決まりがあります。
退職日の翌日から20日以内に申請が必要です。
そして任意継続が認められても1回でも1日でも納付が遅れると取り消され国民健康保険に加入となります。
逆に考えると、とりあえず任意継続の手続きを期限内にしておいて、もし任意継続をしない方が有利だと思えば延滞することで任意継続を打ち切りにされ国民健康保険に移行する、という方法も考えられます。(国民健康保険に任意に変更するという手続きがないので、任意継続をしている個人事業主が国民健康保険に切り替えるにはこの方法しかありません。なんか一般的には悪いイメージの滞納をしないといけないというのは気持ちが悪いですね。)
配偶者も健康保険の扶養に入れる場合は、配偶者の所得が少ないことを証明する必要があります。
証明の方法は、配偶者の前年の源泉徴収票を提示するか市区役所役場で課税証明を取るか。
前年は130万円を超えていたが前々年は130万円未満だったという場合、もし手続きするのが5月までならば課税証明を取りに行きましょう。5月31日までは前々年の課税証明になります。
そして、任意継続とどちらが有利か教えてほしいと頼みましょう。
任意継続とは、これまでの会社の健康保険に継続して加入するということです。ただし、これまで会社が負担してくれていた半額分も自分で負担することになります。それでも扶養家族が多いなど、場合によると国民健康保険に変更するよりも安くなります。
ただ、この任意継続には決まりがあります。
退職日の翌日から20日以内に申請が必要です。
そして任意継続が認められても1回でも1日でも納付が遅れると取り消され国民健康保険に加入となります。
逆に考えると、とりあえず任意継続の手続きを期限内にしておいて、もし任意継続をしない方が有利だと思えば延滞することで任意継続を打ち切りにされ国民健康保険に移行する、という方法も考えられます。(国民健康保険に任意に変更するという手続きがないので、任意継続をしている個人事業主が国民健康保険に切り替えるにはこの方法しかありません。なんか一般的には悪いイメージの滞納をしないといけないというのは気持ちが悪いですね。)
配偶者も健康保険の扶養に入れる場合は、配偶者の所得が少ないことを証明する必要があります。
証明の方法は、配偶者の前年の源泉徴収票を提示するか市区役所役場で課税証明を取るか。
前年は130万円を超えていたが前々年は130万円未満だったという場合、もし手続きするのが5月までならば課税証明を取りに行きましょう。5月31日までは前々年の課税証明になります。
子どもの教育費などの免除申請
お子さんがいる方は、国民年金の免除が決定したら、義務教育の給食費の補助や入学準備金等の付与、高校の授業料の一部免除等が受けられます。
おそらく入学時と年度の切り替わる6月に学校から書類を貰っているはずですし、学校か教育委員会に問い合わせをすると手続きについて教えてくれます。
おそらく入学時と年度の切り替わる6月に学校から書類を貰っているはずですし、学校か教育委員会に問い合わせをすると手続きについて教えてくれます。
キモになるのは離職票
つまり、離職票→国民年金の免除の流れで各種の免除や減免、補助が受けられることになります。
よって、国民年金を単に払わないという場合はこれらの優遇措置が使えません。ちゃんと手続きをして国民年金の免除の決定を受けることがキモになります。
そのキモを作るのが離職票です。
雇用保険は、会社を辞めて次の仕事を探す間は失業保険がもらえるのに自分で仕事を始めるときには何も貰えなくて今まで払っていたものが無駄になると思ってしまいがちですが、こういう使い方(効果)もあります。
よって、国民年金を単に払わないという場合はこれらの優遇措置が使えません。ちゃんと手続きをして国民年金の免除の決定を受けることがキモになります。
そのキモを作るのが離職票です。
雇用保険は、会社を辞めて次の仕事を探す間は失業保険がもらえるのに自分で仕事を始めるときには何も貰えなくて今まで払っていたものが無駄になると思ってしまいがちですが、こういう使い方(効果)もあります。
個人事業ではなく、法人を設立する場合は
さて、ここまで読んで『自分は個人事業じゃなくて会社を作りたいからこれは使えない』と思った方もいるかもしれません。法人の場合は、自分ひとりであっても厚生年金と健康保険になりますからね。
確かに個人事業よりも法人の方が対外的な信用度は高いですし、自営と社長では(たとえ実態が同じでも)気分も違いますね。
事業が順調に軌道に乗り、事業と生活に必要な収入が得られることが明らかな場合は、上記のことを気にせず法人にしていいと思います 。
でも、どうなるか分からない場合は、まず個人で開業し、軌道に乗ってから法人にした方が法人設立費用もかからず、消費税の課税上も有利です。
消費税は原則として2年前の売上で課税か免税かを判定します。そして、個人と法人は全く別物として考えます。
ということは、個人事業で2年間は原則として消費税が課税されませんし、個人事業1年目に1千万円以上の売り上げがあった場合は3年目に課税されることになりますが、その前年(個人事業2年目)に法人成りすれば個人で課税されないままで終わり、法人も2年間は課税されません(前年の前半の半年で1千万円以上売り上げがあるような場合は2年目でも課税されます。)。(消費税法9条、9条の2)
確かに個人事業よりも法人の方が対外的な信用度は高いですし、自営と社長では(たとえ実態が同じでも)気分も違いますね。
事業が順調に軌道に乗り、事業と生活に必要な収入が得られることが明らかな場合は、上記のことを気にせず法人にしていいと思います 。
でも、どうなるか分からない場合は、まず個人で開業し、軌道に乗ってから法人にした方が法人設立費用もかからず、消費税の課税上も有利です。
消費税は原則として2年前の売上で課税か免税かを判定します。そして、個人と法人は全く別物として考えます。
ということは、個人事業で2年間は原則として消費税が課税されませんし、個人事業1年目に1千万円以上の売り上げがあった場合は3年目に課税されることになりますが、その前年(個人事業2年目)に法人成りすれば個人で課税されないままで終わり、法人も2年間は課税されません(前年の前半の半年で1千万円以上売り上げがあるような場合は2年目でも課税されます。)。(消費税法9条、9条の2)
終わりに
独立開業創業を成功させるのは、まず家族の生活ができてこそです。
事業がうまくいくまで貯金を切り崩しながら頑張っていくことになると思いますが、その際に法的に正式な手続きをすることで負担を減らしましょう。
そして、事業がうまくいったらその利益を税金という形で還元して次の人たちに使ってもらいましょう。
まだはっきりと独立開業するかは考えていない、具体的な計画はないけれども相談してみたい、という方もお気軽にご相談ください。
事業がうまくいくまで貯金を切り崩しながら頑張っていくことになると思いますが、その際に法的に正式な手続きをすることで負担を減らしましょう。
そして、事業がうまくいったらその利益を税金という形で還元して次の人たちに使ってもらいましょう。
まだはっきりと独立開業するかは考えていない、具体的な計画はないけれども相談してみたい、という方もお気軽にご相談ください。