令和2年度税理士登録者数等
本日郵送されてきた税理士界第1400号(令和3年5月15日)に令和2年度末税理士登録者数が掲載されています。
抜粋すると
昭和36年 | 11,782人 |
平成元年 | 55,340人 |
平成10年 | 63,874人 |
平成20年 | 71,177人 |
平成30年 | 78,028人 |
令和2年 | 79,404人 |
となっています。
(元データへのリンクを貼りたいのですが、会員専用ページですし、スキャン等は著作権云々があるので)
やはり、私が過去に書いたように税理士自体は年々多くなっており、『AI技術により税理士は無くなる職業である』と大騒ぎしている理由の一つである『税理士受験者が少なくなっているので税理士の数も減少している』ということは全くの間違いであることが分かります。週刊誌の記事に踊らされて鵜呑みにして大騒ぎする人たちはちゃんと税理士業務が出来ているのでしょうか(毒)。
このデータで分かることは、税理士がなくなる仕事かどうかということではなく、税理士試験が『割に合わない』試験であると税理士を志した方々が判断したことが証明されたにすぎません。
過去記事:税務会計ソフトは電気羊の夢を見るか
令和2年度の新規登録者の資格別の内訳を見てみます。
試験免除者 | 53.37% |
試験合格者 | 25.18% |
公認会計士 | 19.48% |
弁護士 | 1.97% |
この『試験免除者』『試験合格者』という項目は、『修士等の学識による免除を受けた人』『5科目合格した人』と思いがちですがそうではありません。
会計学は試験合格しており、学位により税法は免除可能だが税法科目を1科目も合格していない場合に試験により税法科目に合格した場合など、合格に達した最終の手段が税理士試験の合格であれば『試験合格者』になるようです。
また、税務署OBの方も試験免除者に入っていますし、税務署OBの方でも一部科目だけ国家試験に合格した方は試験合格者に入っています。
なので、このデータは何を明らかにするために調査して公表しているのか分かりません。
内訳に興味を持っている人がいるとした場合に知りたいと思うのは、税務署出身者、5科目合格者、一部科目の学識免除者、他資格による流入という内訳なのではないでしょうか。
新規登録の内訳は上記の通りですが、令和2年度末での資格別登録者の内訳を見るとまた違うものが見えてきます。
試験合格者 | 44.16% |
試験免除者 | 38.37% |
公認会計士 | 13.16% |
特別試験合格者 | 3.42% |
弁護士 | 0.88% |
税務代理士 | 0.01% |
上記の通り、試験合格者の中には免除科目がある方も含まれていますので、そこについては何の参考にもなりません。
ただ、弁護士、公認会計士については、年度末登録者の割合に比べて新規登録者の割合が増加していることから、近年の流入が増加していることは分かります。
あと、昭和26年に税理士法が制定される前の資格である税務代理士ってまだいらっしゃるんですね。
参考:国税庁 税務大学校 租税資料 税務代理士制度の登場
現在の法律では、弁護士、公認会計士は税理士となる資格を有しており数枚の書類で税理士登録ができます。
地頭が良いのは分かりますが、税法自体の勉強をやっているわけではないのに税の専門家を名乗れるというのは意味が分かりません。
最もおかしいと思うのは、税法をしっかりと勉強して税法3科目に合格した人、大学院にて租税に関する研究論文により修士の学位を得た人は2年間の税務実務がなければ税理士として登録できないのに、税法を彼らほど学んでいない弁護士や公認会計士はその実務経験がいらない(そのまま登録できる)、というところです。
普通に考えて逆ですよね。
なぜ、このように普通のことが普通にならないのでしょうね。職域が荒らされる(自分たちが飯が食えなくなる)という観点で文句を言う人がいるのですが、そういうこと以前に『普通』に考えておかしいという単純なことなのですが。